はいやくブログ

2021年7月13日(火)
『成果報告会』~外国語薬袋を用いた投薬~

こんにちは、おおさわ薬局 三浦です。
7月12・13日に社内の成果報告会があり、薬剤師の部門で発表させていただきました。
はいやくでは1年に1度、自分で取り組んだり学んだことなど他の社員の前で発表する「成果報告会」があります。
コロナ対策で、今年はオンラインでの開催となりました。
その内容を紹介させていただきます。

「外国語薬袋を用いた投薬」

外国人の患者さんは以前は月に10人もいなかったが、近年は月に20人前後、多い月は30人を超えています。ほとんどは通訳を介しての投薬ですが、中には、
・通訳も日本語が片言で日本語も読めない。
・携帯の翻訳アプリに話すよう言われるが上手く翻訳できない。
・最悪通訳がいない。帰ってしまった!
等でコミュニケーションがうまくとれず、患者さん本人が投薬内容を正しく理解できているか不安になることが多々あります。
なんとか薬効用法用量だけでも正しく伝えたいと思っていました。

牧之原市のホームページから外国人人口を10年間の推移を見てみました。平成28年ぐらいから急激に外国人人口が増えてきて5年間で倍の2,000人を超えるようになっています。外国人技能実習制度の影響と言われています。

では何処の国から来日しているのか、牧之原市の国際交流協会のホームページで調べると
中国人183人・フィリピン人322人・ブラジル人1055人・ベトナム人205人と来日が多いです。
この4カ国で全体の9割りを占めます。
ブラジルはポルトガル語 フィリピンはタガログ語ですが英語も公用語だそうです。ベトナムはベトナム語、中国は北京語・広東語等あるようですが、中国語は公用語だそうです。

やはり来局する外国人はこの4カ国の患者さんがほとんどで、おおさわ薬局では2年前よりはいやくの手書き薬袋を、よく来局する外国人の言語
英語・ポルトガル語・ベトナム語・中国語
に翻訳し、手書きの外国語薬袋を作成して投薬する取り組みをしています。

どうしたら正確に薬効用法用量を伝えられるかと悩んでいた頃、はいやくの手書き薬袋を見て、もしこれが英語やポルトガル語の外国語だったら用法用量が伝わるのではないかと思い、まず慣れている英語から翻訳してみました。

英語薬袋の試作が出来たころにフィリピン人の患者さんと通訳が来ました。通訳は日本が長くペラペラです。2人はタガログ語で会話していましたが、通訳と話していくうちにフィリピン人は英語も話せると聞き、作った英語薬袋は伝わるかどうか見てもらいました。
通訳の方は「分かります。飲み方伝わります!これからフィリピン人・外国人どんどん日本に来るし良いと思います。分かる言葉で書いてあった方が安心です。オモテナシデスネ!」と言っていただきました。

頓服や外用も見てもらいアドバイスをもらいました。英語で「頓服薬」に代わる言葉はないそうです。
Medicines to be taken as needed 必要な時に飲む薬としました。
できるだけ記入で済むように、次回まで何時間空けるや熱何℃以上の文章を入れました。

外用薬袋も1回何個等や冷所保存の文章を追加し、必要なら〇で囲むようにしています。

同様にポルトガル語・中国語・ベトナム語です。
これらの言語は文字が打てないのでグーグルで翻訳し、コピペで張り付けて書いています。

実際に2~3部づつ前もって印刷してあり、使ったら補充していきます。
日付が無いので倹薬印を押しています。
英語は読めますが、他の言語は発音も分からないので、日本語でゆっくり説明しています。
ある時、ブラジルの患者さんにラベプラゾールが処方されたのですが、他に患者さんがいなかったので、「胃酸を強く抑える薬」とポルトガル語で調べて、薬袋上に手書きで書いてあげました。すると覚えたての片言の日本語で「丁寧なお話ありがとうございました!」と言っていただき、薬効もきちんと伝えたいと思いました。
外国人の処方内容は慢性期の薬は出なく、外科の門前ですので、怪我や痛み・風邪症状・胃腸炎等急性期疾患ばかりだと気づきました。ですので
急性期に処方されそうな薬の薬効を前もって翻訳して薬袋裏に記載し、チェック・マーカーをして伝えるようにしました。ついでに良く指導するその薬の簡単な注意事項を後ろに記載しています。

外国人患者さん・通訳の反応・意見
この一言だと思うのですが、
薬ですので読めない言葉で書いてあるより、母国語で書いてあるほうが安心です。
その他にも外国人はリアクションが大きいので、素直に喜んでいただけると嬉しいです。
特に通訳の方が褒めてくれます。
こんなの初めてです!
ポルトガル語ですか!
Oh my God!も頂きました。
患者さん本人もニコニコしてうなずきながら聞いてくれています。

改善・苦労した点
・何か気づいた点があれば常に修正・更新している これで完成ではないです。
 (言語数が増えると全て直していくのが大変である!)
・外用薬袋はごちゃごちゃしているので点眼・軟膏・吸入等薬袋を別にして作った方がわかりやすいか?
・グーグル翻訳は最近精度が上がっていると言われていますが、本当に合っているのか分からなく、よく外国である「なんちゃって日本語」のように間違えてないか! と不安になります。できたら必ず通訳に間違えていないか確認するようにしています。
・将来的にレセコンでボタン一つで外国語に薬袋・薬情を全て変換してくれるといいと思う。

考察
外国人患者さん・通訳の反応から、外国語薬袋を用いることで最低限の薬効用法用量が正しく伝えることが出来ていると思われます。

薬袋の効果かわかりませんが、あるブラジル人の通訳の方は何人もブラジル人をおおさわ薬局に連れてきてくれています。最近では門前以外の他医院の処方もおおさわ薬局に患者さんを連れてきてくれています。

コロナの情勢が収まれば外国人人口はまた増加していくと思われ、これからも外国人患者さんに合わせて必要なら言語数を増やしていきたいと思います。

外国人患者さんがよく来る店舗は外国語薬袋を使ってみてはどうでしょうか。薬袋裏はそれぞれの店舗のカラーに合わせて修正が必要かもしれないですが、表薬袋は店舗名・住所・電話・FAX番号を直せばすぐにどの店舗でも使えると思います。というか使う気になれば日本全国の薬局・病院でも使えると思います。

外国語薬袋を用いることによって他社との差別化となり、外国人にもはいやくを選んでいただくきっかけになってもらえればと思っています。

以上発表内容ですが、外国人に投薬していていつも感じるのは、言葉が通じなくても薬剤師として誰一人として薬効用法用量が伝えられないまま帰したくないと思っています。
それと自分のスキルの無さを悔やむと「英語ぐらい話せていればな~」といつも思ってしまいます。
学生の方も英語の勉強も頑張ってくださいね!
成果報告会